地権者を対象にしたオープンハウスに傍聴者として参加しました。そこで示されたのは下図のとおり。けやき屋敷の建物高さは40m、中杉通り沿いは60mと書かれていました。
計画区域では「地区計画」という建築ルールをつくるそうですが、高さ制限に関しては、図に書いてあるとおりだとすると、中杉通り側が60m(マンション15~20階建て相当)で、けやき屋敷が40m(マンション10~13階建て相当)となります。
阿佐谷の原風景はどこに
鎌倉古道が敷かれた当時から計画的に立地していた屋敷林、善福寺川緑地と妙正寺川緑地にはさまれた野鳥のアオシス、駅から見える森、がビルに囲まれてしまう。
中杉通り側に高さ60mの建物が建つということは、現在の阿佐ヶ谷駅南口に立つ高層マンション並みの高さ並みの高さが建つということです。そうしたならば、建物の裏側にある屋敷林は駅から見えなくなります。
さらに、けやき屋敷には高さ40mが建つとなると、もう森ではなくなります。国分寺崖線から三鷹や久我山をへて連綿と繋がっていた緑のパッチワークが途絶えてしまいます。
ほかにも多くの疑問点が
そもそもなぜ河北病院が「けやき屋敷」に移転しなくてはならないのでしょうか?そしてどうして杉並第一小学校が河北病院に移転しなくてはならないのでしょうか?
杉並第一小学校のあった場所は高台ですが、河北病院のあった場所は桃園川です。交換するには区にとって不利としか思えません。
地盤についても、河北病院はもともと川のあったところですから相当に杭打ちしなくてはならないはずです。
実際に昭和39年に行った行った測量図があるのでご覧ください。深さ9mまで軟弱地盤で、そのままでは建物が立たない状況になっています。約10mの支持杭を何本も打って地盤を固めないと「液状化現象」に見舞われる危険があります。
豊洲市場問題の反省に立って
小学校の土地が河北病院の土地に移るメリットは??
鎌倉古道の時代から高台だった土地が現在の小学校の場所です。ここから、かつての桃園川にあたる軟弱地盤の河北病院の土地に移転するメリットはあるのでしょうか?
杉並第一小学校は、駅から近くて学童クラブ・児童館とも近くて、子育てに最適な場所でした。一方、計画案は、軟弱地盤に移転し、学童・児童館も現在の「けやきプール」に遠のいて、なんらメリットはない気がします。
区は「土地区画整理事業」を導入して土地を動かすと言っていますが、そもそも土地区画整理事業には「照応の原則」があり、「できるだけ元ある場所を動かさないこと」になっているはずです。
区は「等価交換だから心配しなくていい」と言っていますが、果たして軟弱地盤を固めるためくい打ちを行うのに何億円かかるのでしょうか?そのお金は区民の税金から出されるのでしょうか?
かつてテレビ報道をにぎわせた「森友問題」では国の土地が非常に安い価格で売却契約されていたことが分かりました。「豊洲市場問題」でも東京都の土地が非常に安い価格で東京ガスに売却されていたことが判明し、現在でも係争中になっています。
今回のケースでも小学校の土地と河北病院の土地が正当に評価・鑑定されているのか、区民の監視を行うべきではないでしょうか?
土壌汚染の浄化費用をだれが見積もるのか
河北病院の土地に移転することに関しては土壌汚染の浄化についても疑問があります。土壌汚染については「汚染者負担の原則」のもと、従前の持ち主が浄化を行わなくてはいけません。今回のケースでも河北病院側が浄化を行う必要がありますが、その費用はどこから出るのでしょうか?
豊洲市場の場合は、東京ガスが行った浄化では足りないことが分かって、東京都が後から浄化・モニタリングすることになりました。そのようにならないためには、事前にどのくらい汚染していて、それを浄化するのにどれくらいの費用が掛かるのかを第三者機関を入れて明らかにし、かつ公開すべきではないでしょうか?
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